京都糖尿病医会 Kyoto Diabetes Association
コラムリレー 第1回 −2026年10月−
京都糖尿病医会会長 長谷川 剛二

私の糖尿病診療2026

多様な患者さんを全人的に理解し、一人ひとりに適切な治療目標を設定することなしに糖尿病診療はできません。

今から思えば若い頃は、いかに血糖値を良い値にするかということばかり考えて、患者さんを診ていたように思います。患者さんと真正面からぶつかり、お互いに傷つけ合うこともありました。今年で医師になって43年目になります。かつては私のことを外来の鬼軍曹と呼ぶ人もおりましたが、今や仏様です。

しかし、経験というものは恐ろしいもので、今では「この患者さんは、どこまで血糖値が高い状態で診ていけるか」を考えながら診療できるようになりました。そもそも、何のために血糖値を下げる治療をしているのか。振り返ってみれば、患者さんのためと言いながら、実は私自身の不安を払拭したかったのではないか、あるいは自己満足ではなかったか、と思うことがあります。血糖値が高い患者さんを診続けるのは、医師にとってつらいものです。しかし、その状態に耐えながら診ていくことも少しずつできるようになりました。

もちろん、血糖値が生理的な範囲に収まれば収まるほど体に良いことは承知していますし、エビデンスも理解しています。それでも、目の前の患者さんを全人的に診て、その人にとって何が大切なのかを考え、リスクを理解したうえで引き受け、自信をもって「血糖値が高い状態でも診ていく」ことができるようになった。それが、私の「糖尿病診療2026」です。

若い先生方は真似しないで下さい、講演や読み物で分かったような気にならないで下さい。患者さんとは実践で、ど真ん中の直球で勝負していただき、時にホームランを打たれ、カーブやチェンジアップを覚えていただきたいです。いずれスローの変化球でしか勝負できなくなりますから。

コラムリレー一覧へ戻る

トップページ | 京都糖尿病医会とは | 講演会のご案内 | 会報 | 会員名簿 | 入会のご案内 | お問い合せ